アガリクス
カワリハラタケ (Agaricus subrufescens) とはハラタケ属のキノコの一種。アガリクス (Agaricus)、ヒメマツタケの俗称で知られる。信頼できる科学的なデータはないが、免疫賦活作用からがん予防・抗がん作用があるとして、日本ではサプリメントとして広く服用されていた。国立健康・栄養研究所は、ヒトでの有効性と安全性については信頼できるデータが2011年3月現在見当たらないとしている。アガリクスの有益な効果については、予備的なヒト臨床試験・動物臨床試験等の研究報告がいくつかされている。
菌株、栽培条件や産地により、その特性や含有成分が異なる。
ハラタケ属のキノコにはハラタケ、ツクリタケ、シロオオハラタケなどがある。
2006年に1製品で発がんプロモーター作用を持つ成分が含有されていることがあると報告がされた。 同時に試験を行った2製品については、上記の作用が認められなかった。 平成21年7月3日に厚生労働省から、都道府県知事等に対し、平成18年2月13日通知発表以後、健康被害の報告はないと通知されている。がんの治療を受けている患者において肝障害が発生した健康被害の報告もないと通知されている。
分類
Agaricus subrufescens (カワリハラタケ)は、アメリカ合衆国の植物学者Charles Horton Peckによって1893年に初めて言及された。19世紀終りと20世紀初頭の間、ヒメマツタケは食用として合衆国東部で栽培されていた。その後、1970年代にブラジルで「再発見」され、新種と考えられたことから、Agaricus blazei と命名された。Agaricus blazeiには薬理効果があると主張され、ABM (Agaricus blazei Murill)、Cogumelo do Sol(太陽のキノコ)、Cogumelo de Deus(神のキノコ)Cogumelo de Vida(生命のキノコ)、ヒメマツタケ、Royal Sun Agaricus、Mandelpilz、 Almond Mushroomなどの名称ですぐに市販された。
2002年に、DidukhらはA. blazeiではなく、A. brasiliensisと呼称した。しかし、Richard Kerriganによるいくつかの菌種の遺伝的試験や相互生殖能試験の結果、ブラジルで発見されたA. blazeiおよびA. brasiliensisは北米のAgaricus subrufescensと遺伝的に類似しており相互生殖能があることが証明された。また、これらの試験において、ヨーロッパのA. rufotegulisも同種であることが判明した。分類学的には最も古い命名であるA. subrufescensが使われる。
概要
一般にブラジル原産の和名カワリハラタケ(Agaricus blazei Murril)の事をアガリクスと称し、そのキノコを原料とした健康食品として広く販売されている。かつては非常に高価であったが、1990年代に栽培方法が確立され手に入りやすい存在となった。
このキノコはブラジルより種菌が日本に持ち込まれ、1970年代後半から日本で人工栽培され、最初ヒメマツタケとして販売が始まった。その後いくつかの研究機関から抗腫瘍効果(免疫療法)や血糖値降下作用等が報告され、注目が高まった。1990年代中頃より、いわゆるアガリクスブームが始まり、サプリメントとして乾燥キノコや抽出エキス等が販売されるようになり、日本国内で300億円以上とも言われる巨大な市場を形成した。
そして、「アガリクスによって『癌が治った!』」というような本も多数出版されている。しかし、こうした本の多くはいわゆるバイブル商法で用いられる「バイブル本」であり、問題とすべき点が多い。
原料は子実体と菌糸体のどちらが、抽出方法は酵素処理法と熱水抽出法どちらがいいかなど確実な事はわかっていない。また、アガリクスと称して売られているものの中にはハラタケ属のキノコであってもカワリハラタケでないものも多数流通している(もっともハラタケ属の学名がAgaricusであるので間違った用法ではない)。
アガリクス製品によると思われる副作用では重篤な肝機能障害で死亡例の症例報告されている(厚生労働省の判断では因果関係がはっきりしないとされている)。
ただし、平成21年7月3日に厚生労働省から、都道府県知事等に対し、平成18年2月13日通知発表以後、健康被害の報告はないと通知されている。がんの治療を受けている患者において肝障害が発生した健康被害の報告もないと通知されている。
機能
一般に食品として販売されており、医薬品等とは異なり効能効果を標榜することはできない。 免疫の働きを活発にする可能性があり、結果として癌の発生予防や増殖抑制が期待され、また癌治療に伴う副作用の軽減、免疫賦活作用により薬剤治療の効果の向上が望める、糖尿病や高脂血症の予防作用を持つと販売業者によって謳われている場合がある。
しかしながら、国立健康・栄養研究所は、免疫の活性化を含めヒトでの有効性と安全性については信頼できるデータは2011年3月現在見当たらないとしている。
ただし、アガリクスの有益な効果については、以下に示すような予備的なヒト臨床試験・動物臨床試験等の研究報告がある。
2004年に子宮頸がん等の患者に化学療法実施中の副作用の発現頻度や免疫機能を調べるヒト臨床試験(RCT試験)を実施し、その結果、副作用の出現頻度に関して、アガリクス・ブラゼイを摂取した患者の方が、プラセボを摂取した患者に比べて、症状の改善が認められたと報告されている。また免疫機能の評価に関しては、抗がん剤の投与が始まってから3週間目と6週間目のNK細胞の細胞傷害活性が、アガリクス・ブラゼイを摂取した患者の方が、プラセボを摂取した患者に比べて、有意に上昇していたと報告されている。
半健康人と思われる成人男女12名に、通常量摂取3カ月試験を行い、体重・腹囲・BMI・体脂肪率を測定し、血液生化学検査を行った結果、体重・BMI の有意な低下が観察される。また肝機能を検討するため、GOT、GPT、γ-GTPを、対象群を正常値群と未病値群に層別し投与前後の変化を検討した結果、生活習慣病に対する脂質,血糖レベルが減少し、肝機能を改善したことが報告された。
動物試験においては、ビーグル犬に対して2Gy・5Gy放射線照射時に、免疫の低下をを抑制した学術文献が発表された。
マウスでの動物試験では、Ganoderma lucidum (Rei-shi) mycelia とAgaricus blazei murill の培地由来水溶性抽出物の、放射線による生存時間の短縮予防と小腸細窩傷害に対する放射線防御作用の学術報告がされている。
またβグルカンの放射線に対する機能性検証について、マウスに9.0Gy照射後、生存率の検証を行った。白血球、血小板およびヘマトクリット値の回復を向上させ、マウスの内因性多能性造血幹細胞数を増加させたと報告されている。
結合している造血前駆細胞の増殖を促進し、白血球の回復を促進し、マウスの生存を増加させたという学術文献も報告されている。
信頼性
前項でも述べたとおり、予備的なヒト臨床試験・動物臨床試験等の研究報告があるが、効果を判断するのに有効とされるデータは現在のところ無いとされる。
日常生活で摂取される食品と同等のものであり、副作用が起こる可能性やその危険性は低いと言える。安全性情報では2年間に及ぶラット発がん性試験において陰性を示す結果が報告されている。
菌株・栽培条件によって安全性・機能性成分が異なるため、個別製品ごとに評価する必要がある。製品を利用する場合は、医師や専門家に相談することが推奨される。
副作用
1製品で癌プロモーター作用がある成分を含む製品が報告され回収される騒ぎに至ったが、含有するのは一部の製品であった(厚生労働省で試験した3つのうち、2つには癌プロモーター作用がない事が確認されている)。販売中止に伴い既に流通していない。その他の製品においては厚生労働省において、一般食品同様に情報収集を行っている。
ヒメマツタケと肝障害の関連を報告した3つの症例報告がある。
平成21年7月3日に厚生労働省から、都道府県知事等に対し、平成18年2月13日通知発表以後、健康被害の報告はないと通知されている。がんの治療を受けている患者において肝障害が発生した健康被害の報告もないと通知されている。